
昨日、当院の股関節脱臼のオリジナル手術のことをネットで調べて下さった方が、なんと!遠く埼玉県からワンちゃんを連れて来院されました。
3月末に脱臼して救急病院で整復してもらったものの、残念ながらすぐに再脱臼してしまったとのことでした。
お電話で「もう1ヶ月経ってしまっていますが・・・」と心配されていましたが、とにかくやるしかないでしょう。
o( ̄^ ̄*)イマデショウ!
血液検査で異常無しでしたから、麻酔をして準備完了。
レントゲンを撮って確認します。


左大腿骨頭が寛骨臼から外れています。典型的な前上方脱臼です。
まずは整復します。
脱臼してから時間が経っていると、外れた場所で結合組織などが大腿骨頭を固定してしまうので、整復が大変なことが多いです。
以前に脱臼してしばらくそのままにされていたゴールデンレトリバーさんの手術をした時は、骨頭がなかなか動かなくて、両手で足首を持ってワンちゃんをぶら下げるようにして引っ張って、30分位かけて整復したこともありました。
今回は約11kgの柴犬ちゃんなので、レトリバーさん程ではないにしてもそれなりの覚悟をして臨みました。
ところが、意外にもあっさり整復できました。 ̄▽ ̄*)v


さ~~て、ここから腕の見せ所。
毛刈りをして消毒した皮膚の上からピンを刺入し、大腿骨の真ん中を目指します。

かなり良好な位置に入りました。(注:術中確認のための撮影なので骨盤は真っ直ぐになっていません)
更に刺入して寛骨臼を貫通させます。

これで固定完了です。
長すぎるピンを切って、曲げます。曲げた部分を皮下に埋没させて手術終了です。

傷はこの通り、ピンで開けた穴だけです。

このまま1ヶ月から2ヶ月ピンを入れたままにしておいて、関節の周りの組織が関節を固定してくれるのを待ちます。
関節が安定した頃を見計らってピンを抜きます。
あとはワンちゃんの治る力頼みです。
さて、今回のワンちゃんの場合、心配事が2つあります。
1つは受傷後1ヶ月経過していることです。時間が経てば経つほど治りも悪くなります。
もう1つは、骨質がかなり柔らかいことです。通常はピンを骨に刺す時にはかなり力が必要なのですが、このワンちゃんは比較的楽に入ってしまいました。
骨粗鬆症というほどではないにしても、骨折には注意が必要ですね。
今回のワンちゃんは、経過と年齢を考えて2ヶ月後の抜ピン予定としました。
2か月後が楽しみであり、不安でもあります。^^;)
どうか治りますように。

←よかったらポチッとクリックしてください
3月末に脱臼して救急病院で整復してもらったものの、残念ながらすぐに再脱臼してしまったとのことでした。
お電話で「もう1ヶ月経ってしまっていますが・・・」と心配されていましたが、とにかくやるしかないでしょう。
o( ̄^ ̄*)イマデショウ!
血液検査で異常無しでしたから、麻酔をして準備完了。
レントゲンを撮って確認します。


左大腿骨頭が寛骨臼から外れています。典型的な前上方脱臼です。
まずは整復します。
脱臼してから時間が経っていると、外れた場所で結合組織などが大腿骨頭を固定してしまうので、整復が大変なことが多いです。
以前に脱臼してしばらくそのままにされていたゴールデンレトリバーさんの手術をした時は、骨頭がなかなか動かなくて、両手で足首を持ってワンちゃんをぶら下げるようにして引っ張って、30分位かけて整復したこともありました。
今回は約11kgの柴犬ちゃんなので、レトリバーさん程ではないにしてもそれなりの覚悟をして臨みました。
ところが、意外にもあっさり整復できました。 ̄▽ ̄*)v


さ~~て、ここから腕の見せ所。
毛刈りをして消毒した皮膚の上からピンを刺入し、大腿骨の真ん中を目指します。

かなり良好な位置に入りました。(注:術中確認のための撮影なので骨盤は真っ直ぐになっていません)
更に刺入して寛骨臼を貫通させます。

これで固定完了です。
長すぎるピンを切って、曲げます。曲げた部分を皮下に埋没させて手術終了です。

傷はこの通り、ピンで開けた穴だけです。

このまま1ヶ月から2ヶ月ピンを入れたままにしておいて、関節の周りの組織が関節を固定してくれるのを待ちます。
関節が安定した頃を見計らってピンを抜きます。
あとはワンちゃんの治る力頼みです。
さて、今回のワンちゃんの場合、心配事が2つあります。
1つは受傷後1ヶ月経過していることです。時間が経てば経つほど治りも悪くなります。
もう1つは、骨質がかなり柔らかいことです。通常はピンを骨に刺す時にはかなり力が必要なのですが、このワンちゃんは比較的楽に入ってしまいました。
骨粗鬆症というほどではないにしても、骨折には注意が必要ですね。
今回のワンちゃんは、経過と年齢を考えて2ヶ月後の抜ピン予定としました。
2か月後が楽しみであり、不安でもあります。^^;)
どうか治りますように。


- 関連記事
-
- 強風の中の散歩 (2013/05/07)
- ワンちゃんの股関節脱臼 (2013/04/27)
- 柴プーさん成長する (2013/04/24)
この記事へのコメント
"必殺仕事人風"の透視画像ね。切開せずにこういうことできるんですね。
2013/04/28(Sun) 09:12 | URL | ELO-3 #-[ 編集]
やっぱり傷は小さい方がいいじゃないですか。
これが出来るようになるのに結構苦労しましたよ。
これが出来るようになるのに結構苦労しましたよ。
2013/04/28(Sun) 22:20 | URL | いんちょ #-[ 編集]
近所の獣医さんからは、股関節は、もうはまりません。外科手術が必要になります。と言われていたので、整復していただいて、ありがとうございます。
また、様子をご連絡しますので、よろしくおねがいします。(^.^)
また、様子をご連絡しますので、よろしくおねがいします。(^.^)
2013/04/29(Mon) 17:52 | URL | はるばる埼玉からきた娘 #-[ 編集]
本当に遠い所ご来院くださいましてありがとうございます。
お役に立てて光栄です。
この術式を考案する前は、私も「8の字包帯法」や「デビタピン法」などを行っていましたが、その成功率の低さに悩んでしました。
なんとか方法はないものか?
しかも侵襲の少ない方法は?
行き付いたのがこの術式でした。
まだ完璧ではないですが、他の術式に比べて成績は良いと思います
案外簡単に整復できたので良かったです。
あとはワンちゃんの治る力頼みですが、2ヶ月後を期待しつつ待ちましょう。^-^)v
お役に立てて光栄です。
この術式を考案する前は、私も「8の字包帯法」や「デビタピン法」などを行っていましたが、その成功率の低さに悩んでしました。
なんとか方法はないものか?
しかも侵襲の少ない方法は?
行き付いたのがこの術式でした。
まだ完璧ではないですが、他の術式に比べて成績は良いと思います
案外簡単に整復できたので良かったです。
あとはワンちゃんの治る力頼みですが、2ヶ月後を期待しつつ待ちましょう。^-^)v
2013/04/29(Mon) 20:30 | URL | いんちょ #-[ 編集]
| ホーム |