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    減感作療法
    2014年10月23日 (木) | 編集 |
    アトピーやアレルギーのワンちゃんが増えています。

    ある蛋白質に対して過剰な免疫反応を示して赤くなったり痒くなったりするのがアレルギーです。
    アレルギーを起こす原因蛋白質をアレルゲンと言います。

    治療には、痒みを抑える対症療法と、アレルギーそのものを起こさなくする原因療法があります。
    対症療法には痒みを減らす抗ヒスタミン剤、ステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑制剤が使われます。
    原因療法として減感作療法があります。

    減感作療法とは?
    減感作療法とは、低濃度のアレルゲンをアレルギーのワンちゃんに接種していき、徐々に高濃度にしていくことで身体に慣れさせて、最終的にそのアレルゲンに対してアレルギーを起こさなくさせるという治療方法です。

    今までにも減感作療法はありましたが、ワンちゃんが何に対してアレルギーを起こしているか検査を行って、その結果をもとにオーダーメイドで減感作療法の治療薬を作成していました。
    また、20回以上の頻繁な治療(注射)が必要だったので、費用も治療期間も非常に掛かる大変な治療法でした。

    ところが最近、日本全薬工業(ゼノアック)が新しい減感作療法薬「アレルミューンHDM」を発売しました。
    今までの減感作療法の「高額である」「治療期間が長い」などの煩わしさを克服し、さらに安全性と有効性を高めた新しい減感作療法の治療薬です。

    アレルミューンHDMの特徴
    アトピー性皮膚炎の主要アレルゲンはコナヒョウヒダニです。
    そのコナヒョウヒダニから分離された蛋白質の中でも特にアレルゲン性の高いDerf2という蛋白質を使用しています。
    治療を行うワンちゃんがハウスダストマイトにアレルギー反応を起こしていれば、このアレルミューンHDMを用いた減感作療法を行うことができるようになったのです。

    治療開始の前にまずはダニに対するアレルギーであること確認します。
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    また、組換え型Derf2をプルランという多糖類に結合させることにより、副反応を抑制するとともに、早期にかゆみを抑える作用を増強しています。

    そして最大の特徴は簡単な治療プログラムです。
    1週間に1回アレルミューンHDMを5~6回注射するだけです。
    臨床試験ではコナヒョウヒダニアレルギーのワンちゃんのおよそ70%で改善がみられています。

    アレルミューン

    アレルミューンHDMを用いた減感作療法を行ったあと1年後に、アトピー性皮膚炎の症状がどれだけ治まっているかを観察した研究で、6回投与した犬の方が5回投与した犬に比べて高い有効率を維持していたという結果が出ています。
    もし痒みが再発した場合に1回追加接種をすることで、再び症状の改善が期待できます。

    ただし安くなったとはいえ治療費(注射代)は1回8000円(税別)です。。。
    6回48000円を安いとみるか高いとみるかは人其々なので何とも言えませんが、アトピーやアレルギーによるしつこい痒みに悩まされているワンちゃんにもう一つ治療法の選択肢が加わったことは朗報だと思います。

    いんちょ

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