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    あい動物病院の周りで起こった出来事や、気になるニュース、趣味のこと、思ったことなどを 気の向くままのんびり書いていきます。
    大型犬は注意
    2014年07月25日 (金) | 編集 |
    昨夜10時半頃、さてお風呂に入って寝るか~と思っていたら電話が鳴りました。
    ワンちゃんが急に苦しみ出したようです。
    お話しを詳しく聞かせていただいたところ、
     ・食後しばらくして急に具合が悪くなった
     ・お腹がパンパンに腫れている
     ・吐こうとしているけど何も出ない
    等の症状から「異捻転」を疑いました。
    胃捻転は緊急事態です。一刻の猶予も無く治療は時間が勝負です。
    「すぐに連れて来てください」

    20分くらいしてワンちゃんが到着しましたのでレントゲンを撮ると

    胃捻転

    この状態でした。
    ああ、やっぱり胃捻転だ。

    捻転ライン

    黄色いラインを「捻転ライン」といいます。
    赤丸部分は餌が充満した胃ですが、位置がおかしい。

    捻転すると血行が遮断され胃が傷みはじめます。
    長い時間が経過して組織が壊死してしまうと、捻転を整復した時に傷んだ血液が循環してしまい、亡くなってしまいます。
    時間が勝負!
    夜だろうが朝だろうがすぐに手術をしなければなりません。
    しかもこのワンちゃん、当院の前に既に何件か動物病院を巡っていて、苦しみ出してからここに来るまで2時間近く経っているとか。

    こちらは時間が経ち過ぎたワンちゃんのレントゲンです。

    胃捻転2

    捻転ライン2

    赤ラインで囲った胃にはガスが充満し、そのガス圧が更に捻転を締め上げています。
    捻転ラインもくっきり。
    このワンちゃんは手術をしましたが残念ながら亡くなってしまいました。

    今回は何とかしなくちゃ!早速準備をして手術を開始しました。
    開腹して捻転している胃をゆっくり戻します。
    再捻転防止のために胃壁の一部を腹壁に固定して閉腹して終了。
    約1時間の手術で、難易度はそれほど高くはありません。

    取り敢えず手術は成功しました。
    見た目の胃のダメージはあまり無さそうでしたが、ミクロ的ダメージは目視では分かりません。
    後はワンちゃんの治る力頼みです。

    頑張れ、ワンコ!

    いんちょ

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