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    あい動物病院の周りで起こった出来事や、気になるニュース、趣味のこと、思ったことなどを 気の向くままのんびり書いていきます。
    ワンちゃんの股関節脱臼
    2013年04月27日 (土) | 編集 |
    昨日、当院の股関節脱臼のオリジナル手術のことをネットで調べて下さった方が、なんと!遠く埼玉県からワンちゃんを連れて来院されました。

    3月末に脱臼して救急病院で整復してもらったものの、残念ながらすぐに再脱臼してしまったとのことでした。
    お電話で「もう1ヶ月経ってしまっていますが・・・」と心配されていましたが、とにかくやるしかないでしょう。
    o( ̄^ ̄*)イマデショウ!

    血液検査で異常無しでしたから、麻酔をして準備完了。

    レントゲンを撮って確認します。

    術前LATE

          処置前DV

    左大腿骨頭が寛骨臼から外れています。典型的な前上方脱臼です。

    まずは整復します。

    脱臼してから時間が経っていると、外れた場所で結合組織などが大腿骨頭を固定してしまうので、整復が大変なことが多いです。

    以前に脱臼してしばらくそのままにされていたゴールデンレトリバーさんの手術をした時は、骨頭がなかなか動かなくて、両手で足首を持ってワンちゃんをぶら下げるようにして引っ張って、30分位かけて整復したこともありました。
    今回は約11kgの柴犬ちゃんなので、レトリバーさん程ではないにしてもそれなりの覚悟をして臨みました。

    ところが、意外にもあっさり整復できました。 ̄▽ ̄*)v

    整復LATE

          整復VD


    さ~~て、ここから腕の見せ所。
    毛刈りをして消毒した皮膚の上からピンを刺入し、大腿骨の真ん中を目指します。

          ピン刺入 VD

    かなり良好な位置に入りました。(注:術中確認のための撮影なので骨盤は真っ直ぐになっていません)

    更に刺入して寛骨臼を貫通させます。

          ピン寛骨貫通

    これで固定完了です。

    長すぎるピンを切って、曲げます。曲げた部分を皮下に埋没させて手術終了です。

          終了VD

    傷はこの通り、ピンで開けた穴だけです。

    手術の傷

    このまま1ヶ月から2ヶ月ピンを入れたままにしておいて、関節の周りの組織が関節を固定してくれるのを待ちます。
    関節が安定した頃を見計らってピンを抜きます。
    あとはワンちゃんの治る力頼みです。


    さて、今回のワンちゃんの場合、心配事が2つあります。
    1つは受傷後1ヶ月経過していることです。時間が経てば経つほど治りも悪くなります。
    もう1つは、骨質がかなり柔らかいことです。通常はピンを骨に刺す時にはかなり力が必要なのですが、このワンちゃんは比較的楽に入ってしまいました。
    骨粗鬆症というほどではないにしても、骨折には注意が必要ですね。

    今回のワンちゃんは、経過と年齢を考えて2ヶ月後の抜ピン予定としました。
    2か月後が楽しみであり、不安でもあります。^^;)

    どうか治りますように。

    いんちょ

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    ジャンル:ペット