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    3週間の家出
    2011年11月02日 (水) | 編集 |
    「猫が家出して、3週間くらいしたら帰って来たんですけど、どうも調子が悪くて・・・」

    いつも放浪しているニャンコはともかく、いつもは家にいる子が3週間も外出はやはり変です。

    こういう場合、その初日か2日目あたりに事故などで大怪我をした可能性が高いです。怪我の影響で動けなくなって、隠れながらじっと我慢をして、痛みが引いて動けるようになって何とか家に帰って来る。その間約3週間。
    怪我ばかりでは無く、具合が悪くてもニャンコは隠れてじっとしています。無事帰って来られるようになればいいのですが、隠れてじっとしている間に亡くなってしまうこともあります。これが”ネコは人目の付かないところに死にに行く”伝説の真相です。別に死にに行ったんじゃありません。

    先日の『慢性横隔膜ヘルニア』のニャンコも3週間くらい帰って来ない時があったそうです。他にも骨折して帰って来る子もいます。

    骨折は3週間経つと変な位置で固まってしまいます。ですから痛みが引いてくるのですが、反面、整復が困難になってしまいます。肢の骨折でひどい跛行(はこう)が無い場合はそのままにしておきます。
    しかし、骨盤骨折で便が出ない場合はそういう訳にはいきません。何としてでも便が出るようにしなければ生きていけません。


    昨夜(11月1日)行った手術は、時間が経った骨盤骨折の手術でした。骨盤で囲まれた便の通り道が骨折によって狭窄してそのままガッチリ固まってしまっていました。もう押しても引いても骨折片が動きません。。。;´д`)うわぁあ・・・

    骨盤オペ前

    骨盤オペ前(説明)

    仰向けのレントゲン写真です。向かって左が頭方向、右がお尻、上が左側、下が右側です。
    この写真ですと右側の骨折はDだけであまりズレてないように見えます。
    左側は複雑で、ABCの3ヶ所で骨折しています。本来AはA’の位置に、BはB’の位置になければなりません。Cはあまりズレてないように見えます。 

    骨盤オペ前2

    骨盤オペ前2(説明)

    横向きのレントゲン写真です。向かって左が頭方向、右がお尻方向です。
    これで見ると右骨盤のDのズレが激しいです。かなり背側に変位しています。
    左側はあまりズレていないように見えたCが意外に変位していることが分かります。

    この中で一見Bの部分が一番骨盤腔を狭くしているように見えますが、一番狭いのは実はCの部分なんです。肛門から指を入れて確認します。

    このように、特に骨盤は2方向、あるいはもっと多方向から撮って見て、更に直腸検査をしてみないと状況が分かりません。


    このような大手術の時は同級生の獣医師(三島市開業)と一緒にやりますが、手術は困難を極め3時間かかり、午前0時30分過ぎまでやってました。
    骨盤は左右とも骨折して変位も激しく、とても元通りになんてなりません。今回の手術目的は”便が出るようになること”です。
    骨盤腔狭窄の主な原因となっている左側だけを動かすことにしました。
    それでも3ヶ所(上の写真のABC)の切開が必要でした。(受傷後2~3日なら1ヶ所でいいのに・・・)
    骨折部を固めるために形成された結合組織を切除して、骨折端をなるべく元の位置に近付けます。時に力を込めて、時にゆっくり時間をかけて。
    骨折の状況は毎回違いますから、想像力と創造力が勝負です。その手術の時も友人の獣医師とああしたら、こうしたらと議論しながら最良の方法を模索します。

    骨盤オペ後 (1)

    骨盤オペ後


    手術が終了して直腸検査をして、狭窄がかなり緩和したのを確認すると、二人でハイタッチをして祝福し合いました。後はこのまま固まるのを待つだけです。長時間の手術にニャンコもよく頑張りました。

    3週間家出後の帰宅時は要注意です。

    いんちょ 

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