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    十二支に猫がいない
    2010年09月05日 (日) | 編集 |
    神様が言いました。
    「元旦の朝、家の前まで来なさい。早く着いた順番に十二支を決めよう」
    足の遅い牛は、早めに出かけました。それを見たネズミが牛の背中に乗って行き、到着直前に牛の背中からヒョイと降りて、神様の家の前に一番乗りで着きました。そして1番を手に入れたのでした。
    猫も十二支に入りたかったのですが、ネズミから1月2日を集合する日と教えられたので、元旦に神様の家に行きませんでした。なので、十二支に猫がいませんし、怒った猫はそれ以来ネズミを敵として追いかけている、ということです。

    これが日本に伝わる十二支の動物を決める話です。ご存知の方も多いと思います。
    物語としては面白いのですが、これが本当の理由とは思えません。

    実は十二支の「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」は古代中国で使われていた数詞(数え言葉)で動物とは関係なかったそうです。その一例として、時刻を干支で表していることが挙げられます。「子の刻」とか「草木も眠る丑三つ時」とかですね。「正午」の午もそうです。
    ではなぜ動物に変わったのでしょう。
    動物の十二支が最初に文献に現れるのは、後漢時代の王充(おういつ、紀元27~100?)の著した『論衡(ろんこう)』です。人々に干支を普及させるため干支をなじみ深い動物に置きかえた、と言われています。
    わざわざ動物に置き換えたとすると、当時数詞は民衆には馴染みが薄かったのでしょうね。

    さて、中国に初めて猫を運んだのは三蔵法師と言われています。経典をネズミに齧られないために一緒にインドから持ち帰ったとされています。三蔵法師は7世紀頃の人ですから、王充の頃には中国に猫がいなかったことになります。

    つまり、なぜ十二支に猫がないかと言われたら、猫が居なかったからですね。


    この十二支の発想は中国から中央アジア、ロシア周辺にまで広がっています。
    十二支の動物は、最初は中国で決められたものが伝播していくに従って、その国や土地になじみの動物と差し替えられていったと考えられています。
    実は猫が十二支に入っている国もあるんです。ベトナムや、タイ、チベットなどです。それらの国ではおおむねウサギの代わりに猫が入っています。
    これは「卯」と「猫」の音が似ていたため、すり替わったと考えられています。

    もっと早くに猫が中国に渡っていたら、日本でも「猫年」があったかもしれませんね。


    いんちょ

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    テーマ:猫のいる生活
    ジャンル:ペット